「……っ!?」

 カッと叶海の身体が熱くなる。

 とうとう、自分の気持ちが伝わったのかと胸が熱くなる。

しかし、叶海は雪嗣がかすかに震えているのに気が付いた。

「……ど、どうしたの?」

 困惑しつつも訊ねると、雪嗣はややあってから話し始めた。

「叶海は――本当になにも覚えていないのか」

「…………?」

 言葉の意味が分からず戸惑っていると、雪嗣は叶海から身体を離して、物憂げに瞼を伏せた。そして――遠い過去のことを話し始めた。それは龍神である雪嗣が、ずっと胸の内に抱えていた真実。そして、叶海にとっては衝撃の物語だ。

「俺は――昔、人と夫婦(めおと)になる約束をしていた」