雨は連日降り続くと、山で土砂崩れが相次ぎで起こり、とうとう村まで飲み込んでしまった。一気に押し寄せる土砂が逃げきれなかった家を、家畜を、人間を襲う。
 なんとか土砂を食い止めようとするも、妖力のほとんどを蛇神に渡してしまった私は、何もできずにただただ見ていた。
 山の上で高みの見物かのように大きな樹木に巻き付いてみている蛇神が見えて、私は何があったのかと問う。
 すると、蛇神はニヤリと哂ってこう告げた。

『お前が妖力をくれたおかげで、ずっと狙っていた村を水の底へ沈めることができた』、と。