「二人とも、子どもみたいに見えるところが」
「なんですか、それ!」
 のぞみは声をあげる。
「私は成人してます!」
 紅がはははと軽快に笑いだす。そして目を細めてのぞみを見た。
「それはもちろん知ってるよ! それでも…ね」
 のぞみは頬を膨らませた。いつまでも高校生に間違えられるのがのぞみのコンプレックスなのだ。
 紅がその頬を、笑いながら突いた。
「でもかの子だけじゃなく、他の子にとってものぞみは特別らしい。…なにかあやかしを引きつけるモノがあるようだ。今日一日、子どもたちと過ごす君を見ていてそう思ったよ」
 自分があやかしに好かれる体質だなんて一日前の自分が聞いたなら、とんでもないと腰を抜かしたに違いない。でも今はただ素直に、それが本当ならうれしいと思う。そして自分の中に、その変化をもたらしたものの正体にのぞみは想いを巡らせた。
 …もしかしたら、自分も何かに惹かれ始めているのかもしれない、そんなことをぼんやりと考えた。