のぞみは目を剥いて声をあげる。どこからどうみても小学生に見えたのに。
 一方で、紅は平然として頷いた。
「そうだよ。こづえはあの通り気が強くて喧嘩っ早いから、何度も夫婦別れをしてるんだ。私が知っているだけで、そうだな…五回くらいは。でもそのたびにできる子どもはしっかりと育てあげているから、そう心配することはないよ」
 のぞみは唖然として、こづえとかの子が消えていった森の方を見つめた。
「何にせよ、のぞみとかの子が仲良しになってくれて良かったよ。初めはのぞみがこづえに似ているから、くっついていったのかと思ったけれど、それ以上に相性がいいのかもしれないね」
「…私、こづえさんに似てますか?」
 のぞみはまだ唖然としたまま、どこかうわの空で紅に尋ねる。そういえば、昨日も彼はそんなことを言っていたなと思いながら。
 はっきり言って、ジュニア雑誌から抜け出してきたようなこづえと、野暮ったい自分のどこに共通点があるのか、さっぱりわからなかった。
 紅はにっこりと笑って、「似ているよ」と頷いた。