こづえが舌打ちをしてサケ子を睨んだ。
「いちいちうるさいな、口裂けは黙ってな!」
サケ子とこづえの間に、一触即発といった空気が流れるのを感じて、のぞみは慌てて口を開いた。
「い、至らないところもあるかとは思いますが、精一杯やりますので、よろしくお願いします!」
「お母さん、のぞせんせー優しいよ。かの子、今日はほいくえん楽しかったな」
かの子の言葉にこづえはサケ子を睨むのはやめて、「ふーん」と言ってもう一度のぞみを見た。
そしてさようならも言わないで踵を返すと、ずんずんと森の方へ歩いてゆく。その背中に思わずのぞみは声をかけた。
「あの!」
のぞみの呼びかけられたこづえは足を止めて振り向いて、整えられた眉を上げた。
「…なに?」
「あの…、も、もし保育園が開くよりも早く出勤しなくてはいけない日があるなら、私のアパートに連れてきてもらえませんか?かの子ちゃん…」
「…え?」
「三時くらいからなら私、家にいますから。敷地内のあのアパートです」
森にへばりつくように建っている建物を指差すと、こづえは驚いたように目を見開いて声をあげた。
「いちいちうるさいな、口裂けは黙ってな!」
サケ子とこづえの間に、一触即発といった空気が流れるのを感じて、のぞみは慌てて口を開いた。
「い、至らないところもあるかとは思いますが、精一杯やりますので、よろしくお願いします!」
「お母さん、のぞせんせー優しいよ。かの子、今日はほいくえん楽しかったな」
かの子の言葉にこづえはサケ子を睨むのはやめて、「ふーん」と言ってもう一度のぞみを見た。
そしてさようならも言わないで踵を返すと、ずんずんと森の方へ歩いてゆく。その背中に思わずのぞみは声をかけた。
「あの!」
のぞみの呼びかけられたこづえは足を止めて振り向いて、整えられた眉を上げた。
「…なに?」
「あの…、も、もし保育園が開くよりも早く出勤しなくてはいけない日があるなら、私のアパートに連れてきてもらえませんか?かの子ちゃん…」
「…え?」
「三時くらいからなら私、家にいますから。敷地内のあのアパートです」
森にへばりつくように建っている建物を指差すと、こづえは驚いたように目を見開いて声をあげた。