かの子はびっくりしたように顔を上げて、でもすぐに大きな瞳を輝かせた。
「うん、いいよ!」
 小さな手を取ってまずは玄関からと廊下を歩くと何人かの子どもたちもついてきた。
「掃除はおいら得意だぜ」と言ってべろりと赤い舌を出すのは、垢舐めの子だ。
 お風呂や水回りの掃除をさぼると垢を舐めに現れるというあやかしだ。
「舐めるんでしょー!」
 別の子が言って子どもたちがあははと笑うとつられてかの子もくすくすと笑った。のぞみはホッと胸を撫で下ろす。きっかけさえあれば、溶け込むことができそうだ。