のぞみは服の上からでも感じられる。自分の鼓動と体温にホッと胸を撫で下ろす。確かに紅の言う通り、ぞぞぞを食べられたからといって死ぬわけではなさそうだ。
 そう安堵してため息をついたのぞみだけれど、胸元で紅の手があやしい動きをするのに気がついて再び眉を潜めた。まさかと思って軽く睨むと紅はそんなことには気がつかずに、嬉々として手を這わせている。そしてこれまた機嫌良くとんでもないことを口にした。
「それにしてものぞみ、君は意外と…、うーん。これはなかなか…」
 もぞもぞとのぞみの胸元を這い回る紅の手を信じられない気持ちで見つめていたのぞみの手が次の瞬間反射的に動いた。
 バチン!
「ここここの…!へへへ変態!!」
 大きな音を立てて、のぞみは紅の頬を叩いた。