奥の女性の目つきがさらに険しくなった。子どもたちの前でこんなことを言うのぞみに怒っているのかもしれないと頭の片隅で思うけれど、それでも言わずにはいられなかった。このまま話が進んで、あやかしの保育園で先生をするなんてまっぴらだ。
「私はきちんと伝えたよ」
 紅が悪びれることもなくのぞみに言った。
「この保育園の子どもたちは少々個性的だって。そしたらのぞみは、大丈夫です! って胸を張っていたじゃないか」
「そんな…!」
 のぞみは絶句して紅を睨んだ。
 個性的といえば個性的だけれど"少々"とはいえない気がする。でも流石にそれ以上は言えなかった。のぞみの周りを取り囲む沢山の子どもたちは皆不思議そうに目を瞬かせている。