食べたい?
のぞみは振り返って紅を見る。
紅はふふふと微笑んでのぞみの頭を優しく撫でた。
「もう平気かな?」
「…何をしたんですか?」
まだ少し震える声でのぞみは思い切って尋ねてみる。
紅がにっこりと微笑んだ。
「悪いものではないよ。君の"ぞぞぞ"を食べたのさ」
「…"ぞぞぞ"?」
「そう。何か得体の知れないものを見たときや恐い体験をした時に、背筋がぞぞぞーってなることがあるだろう? それが"ぞぞぞ"、人が何かを恐れる気持ちかな。私たちは、それを食べて生きている。さっき私が君の"ぞぞぞ"を食べたから、少し怖くなくなっただろう?」
のぞみはゴクリと喉を鳴らして部屋の中を見回した。
部屋には異様な風貌の二十人ほどの子どもたち。その中には、さっき階段のところにいた、かの子の姿もあった。
それから子どもたちの向こうには、刺し子模様の手拭いで口元を覆った着物姿の女性がいた。彼女がもう一人の保育士だというならば、個々のカタチはともかくとして、この場が保育園だということは頷ける。
のぞみは振り返って紅を見る。
紅はふふふと微笑んでのぞみの頭を優しく撫でた。
「もう平気かな?」
「…何をしたんですか?」
まだ少し震える声でのぞみは思い切って尋ねてみる。
紅がにっこりと微笑んだ。
「悪いものではないよ。君の"ぞぞぞ"を食べたのさ」
「…"ぞぞぞ"?」
「そう。何か得体の知れないものを見たときや恐い体験をした時に、背筋がぞぞぞーってなることがあるだろう? それが"ぞぞぞ"、人が何かを恐れる気持ちかな。私たちは、それを食べて生きている。さっき私が君の"ぞぞぞ"を食べたから、少し怖くなくなっただろう?」
のぞみはゴクリと喉を鳴らして部屋の中を見回した。
部屋には異様な風貌の二十人ほどの子どもたち。その中には、さっき階段のところにいた、かの子の姿もあった。
それから子どもたちの向こうには、刺し子模様の手拭いで口元を覆った着物姿の女性がいた。彼女がもう一人の保育士だというならば、個々のカタチはともかくとして、この場が保育園だということは頷ける。