「のぞみ先生だ。よろしくね。仲良くするのだよ」
「はーい!!」
(かかかか勝手にしょ、しょ、紹介しないで!)
 だがやっぱり声には出せない。気が動転してどうにかなってしまいそうだった。夢ならば覚めて欲しいと半ば祈るような気持ちでのぞみはぎゅっと目を閉じる。
 のぞみは時々とても疲れている時に嫌な夢を見ることがある。これもきっとそれなのだとのぞみは自分に言い聞かせる。この街に来たばかりだから疲れてしまって変な夢を見ているのだと。
 目を開ければきっとあの駅前のホテルで朝を迎えられるはず。こんな背中がぞくぞくするような夢は、出来たら起きてすぐに綺麗さっぱり忘れたい…!
 そう何かに願いながら恐る恐る目を開けるのぞみだが、残念ながら願いは叶わず。わらわらと集まってきた子どもたちに周りをすっかり取り囲まれていた。