力の入らない足で板間を蹴ってなんとか逃げようとするけれど、紅に抱き抱えられるように阻まれて叶わなかった。
「やっぱり君、見えるんだね。嬉しいなぁ。みんなおいで、新しい先生を紹介しよう」
 のぞみの背後で紅が嬉しそうに皆を呼ぶ。すると子どもたちが、興味津々といった様子でわらわらと集まってきた。
(よよよ余計なこと言わないで!)
 のぞみは心の中で叫ぶけれど、声に出すことはできなかった。