言いながら、のぞみは血の気が引いていくのを感じていた。だって、のぞみの目には子どもなんて一人も見えない。ただ誰もいない部屋と庭が広がっているだけなのだから。
それなのに、ふふふとか、あははとか、きゃーとか、楽しそうな声とトタトタと子どもが走るような音だけが聞こえてきて、確かに"何か"はいるように思えるから不思議だった。
これはまさか…。
すっかり青ざめてしまったのぞみを見つめる紅の目尻が赤みを帯びた。
「あの…」
思わずのぞみは後ずさる。ここに居てはいけないとのぞみの本能が警告する。
ここは、私が居ていい場所ではない。
だがいつのまにか、紅がのぞみの後にいて肩に両手を置いている。退路を絶たれて、のぞみはゴクリと喉を鳴らした。
ふわりと香る、白檀の香り。
「いない…? 本当に? よぉく見てみて…」
紅が囁く。
「目を凝らして…ほら」
それなのに、ふふふとか、あははとか、きゃーとか、楽しそうな声とトタトタと子どもが走るような音だけが聞こえてきて、確かに"何か"はいるように思えるから不思議だった。
これはまさか…。
すっかり青ざめてしまったのぞみを見つめる紅の目尻が赤みを帯びた。
「あの…」
思わずのぞみは後ずさる。ここに居てはいけないとのぞみの本能が警告する。
ここは、私が居ていい場所ではない。
だがいつのまにか、紅がのぞみの後にいて肩に両手を置いている。退路を絶たれて、のぞみはゴクリと喉を鳴らした。
ふわりと香る、白檀の香り。
「いない…? 本当に? よぉく見てみて…」
紅が囁く。
「目を凝らして…ほら」