「そして婚礼では約束の証しとして、皆の前で口づけをするそうだ。それを今から見届けてくれるだろうか」
おお~!!ともう一段高い歓声があがる。のぞみは目を剥いて紅の袖を引いた。
「こ、紅さま、それは西洋の慣しです。神社での式ではしません!」
紅が、「え?そうなの?」と眉を上げた。
「そ、そうですよ!は、早く訂正して下さい!!」
だがそんなのぞみをよそに紅はニヤリと笑ってからぺろりと自身の唇を舐めた。
「でももう言っちゃったし」
「こ、紅さま!」
のぞみは慌てて紅から離れようとするが一足早く紅の手が腰に絡み付いて叶わなかった。
「のぞみは"約束"して欲しいのだろう?かわいいのぞみを、不安させるわけにはいかないからね」
白々しくそんなことを言いながら紅がぐいっと距離を詰める。
あやかし達が、本殿のすぐそばまで詰めかけて、目を輝かせて二人を見つめる。子ども達も皆親によじ登ってわくわくしながら待っている。
「だ、ダメです、紅さま!子ども達が見て…んっ…!」
のぞみの言葉が紅の口に消えてゆき、同時にどどどと山が揺れるほどの歓声が、山神神社を包みこんだ。
それは山のふもとまでも届くほどで、街の人は皆、今日は山神神社で祭りでもあっただろうかと首を傾げたという。
おお~!!ともう一段高い歓声があがる。のぞみは目を剥いて紅の袖を引いた。
「こ、紅さま、それは西洋の慣しです。神社での式ではしません!」
紅が、「え?そうなの?」と眉を上げた。
「そ、そうですよ!は、早く訂正して下さい!!」
だがそんなのぞみをよそに紅はニヤリと笑ってからぺろりと自身の唇を舐めた。
「でももう言っちゃったし」
「こ、紅さま!」
のぞみは慌てて紅から離れようとするが一足早く紅の手が腰に絡み付いて叶わなかった。
「のぞみは"約束"して欲しいのだろう?かわいいのぞみを、不安させるわけにはいかないからね」
白々しくそんなことを言いながら紅がぐいっと距離を詰める。
あやかし達が、本殿のすぐそばまで詰めかけて、目を輝かせて二人を見つめる。子ども達も皆親によじ登ってわくわくしながら待っている。
「だ、ダメです、紅さま!子ども達が見て…んっ…!」
のぞみの言葉が紅の口に消えてゆき、同時にどどどと山が揺れるほどの歓声が、山神神社を包みこんだ。
それは山のふもとまでも届くほどで、街の人は皆、今日は山神神社で祭りでもあっただろうかと首を傾げたという。