のぞみは手を伸ばして、そっと紅の頬に触れる。その頬は温かいもので濡れている。
「傷ついた心では傷ついた心を癒せなかった。ただそれだけなのです。…もう自分を責めないで」
 のぞみの膝に頬にポタリポタリと紅の目から涙が落ちる。じわりと温かく濡れるそこから、紅の思いが流れ込んでくるようにのぞみは感じた。
 いつも彼は、あやかし園の子ども達に父親のように接していた。寄ってくれば必ず抱き上げて、優しく話を聞いてやる。どんなに忙しくしていても、後回しにすることは決してなかった。
 のぞみが背中に手を回すと、紅はのぞみの肩に顔を埋めて、静かに泣いた。
 やがて街の明かりの向こう側に、あやかし園が見えてくる頃、紅がのぞみの耳に囁いた。