それは志津も同じなのだろう。
板の間に突っ伏して肩を震わせて泣いている。隣で颯太が少し呆然として座っている。
のぞみの脳裏にあやかし園での日々の思い出が次々と浮かんだ。
騙されて初めてこの建物へ入った日、嬉々としてのぞみにセクハラをする紅の笑顔。一平からのぞみを守ってくれた強い背中、頭を撫でる優しい手。のぞみを騙していたことがバレた時の下がった眉、それから妻になってくれと言った時の真剣な眼差し。
こんなところで終わらせるわけにはいかない。
絶対に終わらせない。
のぞみは颯太に歩み寄り、大きく息を吸ってから口を開いた。
「お兄ちゃん!!何ぼんやりとしてるの!志津さんを支えて!太一君は大丈夫、紅さまが助けに行かれたんだもの。このくらいでへばるなら、あやかしと夫婦になるなんて大それたことしないでよ!」
颯太と志津が二人同時に顔を上げて少し唖然としてのぞみを見た。
のぞみはしゃがみ込み、志津の肩に手を置いた。
「志津さん、太一君は必ず戻ります。でもヌエが強いと言うのならいくら紅さまでも油断は禁物なのでしょう。もし知っていたら教えて下さい。結界を張り続ける紅さまが、ヌエに匹敵するほどの力を取り戻すにはどうしたらいいですか?」
涙に濡れる瞳を瞬かせて少し考えてから、志津は震える唇を開いた。
「紅さまは、"ぞぞぞ"を食べなくても自らの力と存在意義を補う力をお持ちです。それでもすぐに補いたければ、やはり"ぞぞぞ"を食べることが一番ではないでしょうか」
のぞみはゆっくりと頷いた。
そしてこづえを振り返る。こづえが真っ青になって首を振った。
板の間に突っ伏して肩を震わせて泣いている。隣で颯太が少し呆然として座っている。
のぞみの脳裏にあやかし園での日々の思い出が次々と浮かんだ。
騙されて初めてこの建物へ入った日、嬉々としてのぞみにセクハラをする紅の笑顔。一平からのぞみを守ってくれた強い背中、頭を撫でる優しい手。のぞみを騙していたことがバレた時の下がった眉、それから妻になってくれと言った時の真剣な眼差し。
こんなところで終わらせるわけにはいかない。
絶対に終わらせない。
のぞみは颯太に歩み寄り、大きく息を吸ってから口を開いた。
「お兄ちゃん!!何ぼんやりとしてるの!志津さんを支えて!太一君は大丈夫、紅さまが助けに行かれたんだもの。このくらいでへばるなら、あやかしと夫婦になるなんて大それたことしないでよ!」
颯太と志津が二人同時に顔を上げて少し唖然としてのぞみを見た。
のぞみはしゃがみ込み、志津の肩に手を置いた。
「志津さん、太一君は必ず戻ります。でもヌエが強いと言うのならいくら紅さまでも油断は禁物なのでしょう。もし知っていたら教えて下さい。結界を張り続ける紅さまが、ヌエに匹敵するほどの力を取り戻すにはどうしたらいいですか?」
涙に濡れる瞳を瞬かせて少し考えてから、志津は震える唇を開いた。
「紅さまは、"ぞぞぞ"を食べなくても自らの力と存在意義を補う力をお持ちです。それでもすぐに補いたければ、やはり"ぞぞぞ"を食べることが一番ではないでしょうか」
のぞみはゆっくりと頷いた。
そしてこづえを振り返る。こづえが真っ青になって首を振った。