「そうだな…、うちの保育園で働いてくれるなら、家賃はいいよ。社宅ということで」
「え! 本当ですか!!」
 こんなにいい話が現実にあるものなのだろうかとのぞみは天にものぼる心地になった。今まで生きてきた中でこんなに幸運だと感じたのは初めてだ。
 宮司がにっこりと微笑んだ。
「もちろん本当だよ。ただ、うちの保育園は少し個性的な子が多いのだけど…それでも良ければ」
「大丈夫です! よろしくお願いします!」
 保育園での実習で出会った子供たちや施設の子供たちを知っているのぞみからしてみれば、子どもイコール個性だ。
 なんの問題もない。
 力強く答えたのぞみに、宮司が頷いて満足そうに微笑んだ。
「…じゃあ、決まりだね。『契約』を結ぼうか。そのあとで、裏の保育園を見せてあげる」