そう言って志津はのぞみの手を掴みぎゅっと握った。
「先生、少しだけでいいので主人と話をしてくれませんか?あやかし園には人間の先生もいらっしゃることは話してあります。人間の中にものぞみ先生のようにあやかしを受け入れてくださる人もいるのだと知れば、主人の考えも変わるかもしれません」
「なるほど…」
 呟きながらのぞみの胸がぎゅんとなった。本当に志津が心から夫を愛おしく思っているのだということが伝わってくる。
 のぞみは志津の目を見て頷いた。
「わかりました。私に何ができるかわかりませんが、さりげなくお話をしてみます」
 おそらく何か特別なことを言う必要はないだろうとのぞみは思う。ただ子ども達とのぞみが楽しく過ごしているのを見るだけでも伝わるものがあるはずだ。
「…ありがとうございます」
 志津が安堵したようにため息をついた。