「のぞせんせーおはよー!!」
午後四時をまわったあやかし園の玄関先、ぞくぞくと子ども達が登園する。その中でひときわ大きな声で挨拶をしながら飛びついてきたのは、太一だった。
「おはよう、太一君。元気だねぇ」
子どもとはいえパワーがある太一をなんとか受け止めながらのぞみは微笑む。だが、あることに気がついて首を傾げた。
「あれ?太一君、耳と尻尾は?」
「ふふふ、隠しているのです」
太一の代わりに志津が答える。今日も菖蒲柄の浴衣を涼やかな着こなして、ため息が出るほど美しい。
「人間のふりをする練習を始めるって言って、昨日から。ふふふ、今まではあんなに嫌がっていたというのにどういう心境の変化かしら」
「のぞせんせーと夫婦になるなら絶対に必要だろう?」
太一がのぞみを見上げてニカっと笑う。のぞみはうれしくなって太一を抱き上げた。
「先生のために?嬉しいな」
だがすぐに紅の声に遮られて顔をしかめた。
「太一それは無用な努力だ」
太一が紅に向かって舌を出した。
「のぞせんせーは、正式なお嫁さまではないと言っていたぞ、ならオイラにもチャンスはあるはずだ」
午後四時をまわったあやかし園の玄関先、ぞくぞくと子ども達が登園する。その中でひときわ大きな声で挨拶をしながら飛びついてきたのは、太一だった。
「おはよう、太一君。元気だねぇ」
子どもとはいえパワーがある太一をなんとか受け止めながらのぞみは微笑む。だが、あることに気がついて首を傾げた。
「あれ?太一君、耳と尻尾は?」
「ふふふ、隠しているのです」
太一の代わりに志津が答える。今日も菖蒲柄の浴衣を涼やかな着こなして、ため息が出るほど美しい。
「人間のふりをする練習を始めるって言って、昨日から。ふふふ、今まではあんなに嫌がっていたというのにどういう心境の変化かしら」
「のぞせんせーと夫婦になるなら絶対に必要だろう?」
太一がのぞみを見上げてニカっと笑う。のぞみはうれしくなって太一を抱き上げた。
「先生のために?嬉しいな」
だがすぐに紅の声に遮られて顔をしかめた。
「太一それは無用な努力だ」
太一が紅に向かって舌を出した。
「のぞせんせーは、正式なお嫁さまではないと言っていたぞ、ならオイラにもチャンスはあるはずだ」