そんなことをごにょごにょ言いながらのぞみは頬が熱くなるのを感じていた。これじゃあまるで雇って下さい言っているようなものじゃないか。
 一方で宮司の方は、「なるほど…」と呟いて、のぞみを吟味するようにじっと見つめている。
 のぞみの背筋が自然と伸びる。怖いくらい美しい顔立ちの宮司に見つめられて、少しだけ身体が熱くなる。
 ややあって宮司は小さく頷くと、にっこりと微笑んだ。
「うちの保育園は慢性的な人手不足なんだ。…もしよかったら、うちで働く? もしよかったら、だけど」
 宮司の言葉にのぞみは飛び上がる。
「ほ、本当ですか!? ぜひ! よろしくお願いします!」
 大きな声で言って頭を下げると頭上で宮司があははと笑った。
「いいの? そんなすぐに決めちゃって。まだ部屋も見てないのに」
 でもこんないい話はそうそうないとのぞみは思う。住む部屋と仕事が同時に決まるなんて。