六平は口を一文字にして何かを堪えるような顔だ。太一に捕まったことがよほど悔しいのだとのぞみは思った。だが彼を引き上げてみてそれだけではないことがわかった。
六平の足が血の色に染まっている。
「ろっくん、大丈夫!?」
のぞみは慌てて足の傷を確認する。幸いにもさほど深いものではなさそうだったが、そもそも身体能力の高い鬼の彼が怪我をすること自体が珍しい。のぞみが園で働くようになってからは初めてのことだった。
六平は唇を噛んで、必死に涙を堪えている。痛いのか、悔しいのかおそらくはその両方だろうとのぞみは思う。
だが鬼三兄弟の一番上である彼は、泣くことを恥だと思っているのだろう。いじらしいほどに一生懸命に我慢をしている。
「ろっくん、身体を洗って中に入ろう?」
のぞみが彼に言ったとき、後ろでわっと泣き声があがる。意外にも泣き出したのは太一だった。泥だらけの手で擦った真っ黒な顔でわんわんと声をあげている。
のぞみは彼を引き寄せて抱きしめた。
「太一君、大丈夫、大丈夫だから」
一方で六平の方は目を丸くしている。驚いて、涙は引っ込んでしまったようだ。そして唖然としながら口を開いた。
「な、なんでお前が泣くんだよぅ、太一」
六平の足が血の色に染まっている。
「ろっくん、大丈夫!?」
のぞみは慌てて足の傷を確認する。幸いにもさほど深いものではなさそうだったが、そもそも身体能力の高い鬼の彼が怪我をすること自体が珍しい。のぞみが園で働くようになってからは初めてのことだった。
六平は唇を噛んで、必死に涙を堪えている。痛いのか、悔しいのかおそらくはその両方だろうとのぞみは思う。
だが鬼三兄弟の一番上である彼は、泣くことを恥だと思っているのだろう。いじらしいほどに一生懸命に我慢をしている。
「ろっくん、身体を洗って中に入ろう?」
のぞみが彼に言ったとき、後ろでわっと泣き声があがる。意外にも泣き出したのは太一だった。泥だらけの手で擦った真っ黒な顔でわんわんと声をあげている。
のぞみは彼を引き寄せて抱きしめた。
「太一君、大丈夫、大丈夫だから」
一方で六平の方は目を丸くしている。驚いて、涙は引っ込んでしまったようだ。そして唖然としながら口を開いた。
「な、なんでお前が泣くんだよぅ、太一」