「うん、だから彼女の幸せな姿を見られて今は満足なんだよ」
 そう言って紅はのぞみの隣に寝そべった。そしてさっきよりも近い距離でのぞみを見つめる。
 紅の香りを間近に感じてのぞみの胸がどきんと跳ねた。
「彼女とのことは過去のことだなんて説明は、あやかし同士の仲なら無用なんだけれど。のぞみは人間だから、必要だと志津に言われたよ」
「志津さんに?」
「うんそう。他の誰かからのぞみの耳に入るのはダメだと怒られた。人間と結婚した自分にはそれがわかるなんて言って。…あれ?いや…もしかしたら、こういうのも言っちゃいけないのかな?」
 口元に手を当ててうーん考えこんでしまう紅を見つめてのぞみは思わず吹き出した。そしてそのままくすくすと笑ってしまう。