志津と話をした次の日、のぞみは子どもたちの園庭での遊びに、太一とともにまざることにした。
 今までは危ないからとサケ子と紅に止められていたけれど、側から見ているだけではわからないこともあるはずだと思ったからだ。
 だがこののぞみの提案に、紅は眉をひそめて否と唱えた。
「怪我をするよ、私は賛成できないな」
 それは重々承知だった。それでものぞみは諦めなかった。
「私研修で行った保育園で外遊びでは大人気だったんですよ!女の先生だけど力持ちだって」
 子ども達とともに遊び、得られるものは頭の中で考えて得られるものより何倍も意味があるとのぞみは思う。
 人間としてあやかしの子どもたちにまざる太一の気持ちが、自分ならわかるかもしれない。
「もちろん危険なことはしないようにします。だから、お願いします」
 そう言って頭を下げると紅は少し考えてからやや渋い顔で頷いた。
「…わかった。ただし、くれぐれも無理をしてはいけないよ」
「ありがとうございます!!」
 こうしてのぞみは、紅の了解を取り付けて外遊びに加わることになった。
「ねぇ、みんな。今日は追いかけごっこに先生も入れてくれない?」
 夕食後我先にと園庭に転がり出る子どもたちに、のぞみは声をかける。
 すぐに、「うん、いいよ!」という元気な答えが返ってきた。