「私、私も人間だから太一君の気持ちはよくわかります。強い弱い関係なく、対等に友達でありたいと思うことは人間の世界では普通のことです。もう少し様子をみましょう! 怪我をしてしまうのは、本当に申し訳ないですけど…それは紅さまが気をつけて下さいますから、少しは減る…と思います」
 のぞみが頬を染めて一生懸命に説得すると、志津は伺うように紅を見た。
 紅が微笑んで頷いた。
「誰に何を言われたのかは知らないけれど、他のあやかしたちの言うことは気にしなくていい。志津は太一のことだけ考えていなさい」
 志津がまた涙ぐんで、少し考えてから深々と頭を下げた。
「…では、ご迷惑をおかけするとは思いますが…よろしくお願いいたします」
 再び闇へ消えてゆく後姿をじっと見つめて、のぞみは小さく拳を作る。そして、もっと真剣に彼らと向き合わなくてはと決意した。