「それはあやかしたち次第だろうね。のぞみが人間だけど子どもたちに好かれているのは、もともと好かれやすい体質なんじゃないかとも思うけど、そもそも君が積極的にあやかしに関わろうとしているからのような気がするし。こづえのことも、私やサケ子ならあそこまではやらないと言っただろう? 君はそれでもかの子のことを放っておけなくて…その結果、こづえは君を受け入れた。だから、可能性はなくはないと思うよ」
 可能性はなくはない…。
 あやかしの長である紅の言葉に、のぞみはうーんと唸って黙り込んだ。他との関わりを重視しないあやかし、繋がりたいと思う人間…。
 紅がのぞみを覗き込んでその頬をつついた。
「あやかしの世界なら、太一が力で敵わない相手に関わるべきではないと学ぶことで一件落着なんだけど。彼は半分人間だから、私たちが思う以外の解決方法があるかもしれないね。とにかくそれまでは、私も彼が傷を増やさないように気をつけているよ」
 のぞみは頷いて、それから紅に向かって頭を下げた。