子どもは大人が思うよりも適応能力が高いものだとのぞみは思う。だから太一もすぐに園に馴染んでゆくだろうと思っていた。だが予想に反して、ことはそう簡単にはいかなった。
 腕白な子がたくさんいると言った紅の言葉は本当で、あやかし園の子どもたちは鬼の子をはじめ男の子も女の子もよく暴れる。そういう子は保育時間のほとんどを園庭で走り回って過ごすのだ。
 人間の保育園でトラブルになるほど腕白だったというならば、太一もそこにまざればいいとのぞみは思っていた。
 喧嘩も沢山しているけれど、大抵はいつのまにかもとに戻っていることが多いから、あまり口出しはせずに黙っていよう。
 そう思って、太一を園庭に送り出したのぞみだけれど、結局その日はすぐに止めに入ることになってしまった。
 人間の保育園でトラブルになるほどだったという太一もあやかしの子の中に入ってしまえば、その身体能力は少し足りないようですぐに怪我をしたからだ。
 それでも懲りずに次の日からも太一はそこへまざりたがった。
 のぞみにとってははらはらとする毎日が始まった。かすり傷程度ならともかく大怪我してはと気が気じゃない。