志津の言葉にも、気にするなと首を振る。
「健やかであればそれでいい。太一、私が強いかどうかは、後でおしえてあげよう。園にはお前のように腕白な子が沢山いるからね。まとめて相手をしてやるよ。それから、こちらはのぞみ先生だ。お前と同じ人間の先生だから何かと頼りにするのだよ」
 紅が太一と目線を合わせてそう言うと、志津が「まぁ」と声をあげた。
「人間の先生がいらっしゃるんですね。なんて心強い」
 切れ長の綺麗な目でじっと見つめられて、のぞみは頬を染めて頭を下げた。
「のぞみです。よろしくお願いします」
 そしてしゃがんで、太一を見た。
「太一君、よろしくね。こっちはかの子ちゃん、今日からいっぱい遊ぼうね」
 だが太一はのぞみを睨んで、鼻を鳴らす。
「へん!人間なんか、弱っちいのに世話になるか」
「これ、太一!」
 再び志津が太一を叱る。
 その時、サケ子が本殿の方からやってきた。そして志津と太一に気がついて、意外そうに足を止めてこちらを見ている。どうやら彼女は今日太一が来ることを知らなかったようだ。
 志津がそのサケ子に気がついて、丁寧に頭を下げた。