紅が、「もちろんあるよ」と言ってにっこりとしてのぞみを見た。
「私たちがそうじゃないか」
「なっ…! わ、私が言っているのは、本当の夫婦のことです!」
 声をあげると、かの子が笑ってのぞみを指差した。
「のぞせんせーまっかっかー」
 紅がうーんと唸って首を傾げる。そして何かを思い出すように遠い目をした。
「そう言われてみれば、この辺りではかなり久しぶりだね。前にも言ったけれど、あやかしを受け入れることができる人間はもうほとんどいないからね。あやかしの方も、それがわかっているから"ぞぞぞ"を稼ぐ以外は近寄らない。でも昔は人間とあやかしの距離はもっと近くて、そう珍しいことでもなかったんだよ。とはいえあやかし園で半分とはいえ人間の子を預かるのは初めてだから、のぞみがいてくれてよかったよ」