そう言って宮司は赤い舌でぺろりと唇を舐めた。
「なななななにを言って…!」
 のぞみは再び声をあげて、わなわなと唇を震わせた。こういう冗談が好きな人はのぞみの苦手中の苦手だった。
 あわあわと言うのぞみに宮司はぷっと吹き出してカラカラと笑った。
「ははは! うそうそ、ごめんごめん! 大丈夫だよ。今まで住んでた住人からはお化けが出るなんて話聞いていないからね。驚かして申し訳ない」
 謝られてもすぐには警戒を解かずに睨みつけたままののぞみに、宮司はにっこりと笑いかけている。そして首を傾げて試すようにのぞみを見た。
「でもやっぱり女の子が住むには古すぎるかな。君怖がりみたいだし。…どうする? やめておく?」