「つまりは、ちゃんと否定をしてくれるということですね?」
 確認するようにのぞみは言う。
 紅はこづえとのぞみのところへやってきて、ちゃぶ台の前に座り、にっこりと笑う。
 そして「もちろん、違う」と首を振った。
「え? じゃあ、どういう…」
 首を捻るのぞみの隣で、こづえが胡散臭そうに紅を見ている。
「それはもちろん、のぞみがアパートを出ることはあり得ないからだよ。私が許さない」
 平然として無茶苦茶なことを言う紅にのぞみは声をあげる。
「なっ…!そんなの私の自由です!契約の話は嘘だったって紅さまが、言ったじゃないですか」
「それが本当だって誰が言った?」
「はぁ?」
 もういい加減なことばかり言う紅にのぞみは呆れかえってしまう。だがそれでも本気で嫌いになれないところが厄介だとのぞみは思った。
 ニヤニヤとする紅を横目に見て、こづえが突然立ち上がった。