突然の彼の言葉にのぞみはそう答えるのか精一杯だった。ぐいっと顔を近づける彼に目を白黒させてしまう。そんなのぞみに一平はさらにたたみかけるように言った。
「君、父兄の間でも大評判だよ。かわいいし、子どもたちをよくみてくれるって」
「え?あ、ありがとうございます」
 父兄とはすなわちあやかしたちだ。あやかしたちの間で自分のことが噂になっているとは…そのことに少し戸惑いながらも、のぞみはお礼の言葉を口にした。
 何にせよ、人間の保育士でも受け入れてもらえてるようで嬉しかった。
「いたらないこともあるかと思いますが、よろしくお願いします」
 そう言ってのぞみが微笑むと、一平は弟たちを下ろしていきなりのぞみの腕をぐいっと引いた。
「僕は一平、鬼一家の長男だよ。よろしく!ねぇ、今度デートしない?人間の君でも楽しめるプランを立てるよ。僕あやかしだけどお金も稼いでいるからさ、ほしい物なんでも買ってあげるよ!」