アパートは、古びた本殿の隣にあった。神社の敷地内には誰もいない。森の木々が風になびいでザザーと音を立てるのと、宮司の下駄がカランカランと鳴る音だけが響いている。
「ここだよ」
アパートの前で足を止めて宮司が振り返る。のぞみはゴクリと喉を鳴らしてその建物を見上げた。
"そうとう古い"とおじさんが言っていたから、ある程度は覚悟していたけれど、これは…。
鬱蒼と茂る森にへばりつくように建っている木造二階建てのその建物は、今にも崩れ落ちそうに傾いている。二階の部屋のいくつかの窓はガラスが割れていた。入口へと続く外階段も苔むして、もう何年も誰も通っていないように見える。
もしかして、いやもしかしくても今現在住んでいる人はいないに違いない。
「ここだよ」
アパートの前で足を止めて宮司が振り返る。のぞみはゴクリと喉を鳴らしてその建物を見上げた。
"そうとう古い"とおじさんが言っていたから、ある程度は覚悟していたけれど、これは…。
鬱蒼と茂る森にへばりつくように建っている木造二階建てのその建物は、今にも崩れ落ちそうに傾いている。二階の部屋のいくつかの窓はガラスが割れていた。入口へと続く外階段も苔むして、もう何年も誰も通っていないように見える。
もしかして、いやもしかしくても今現在住んでいる人はいないに違いない。