のぞみは再び紅を睨んで、その腕をバシンと叩いた。でも確かにいろいろなことがいっぺんに起きて、ぐちゃぐちゃといていた頭の中がすっきりとしたような気がする。"ぞぞぞ"を食べてもらったからか、街の明かりを一望できる大木の上から見る絶景を楽しむ余裕もでてきた。
 一番向こうには真っ黒な海、その手前に少し控えめな街の明かり、そして足元に広がるのがのぞみたちがいる山神神社だ。よく見るとそこがぼんやりと赤い膜のようなもので包まれている。
「…もしかして、あれが紅さまの結界ですか」
 のぞみが指をさして尋ねると、紅がゆっくりと頷いた。