「紅さま!いい加減なことを言わないで下さい!!」
「そうだお前たち、このことは母上に言うんでないよ。私たちの関係はまだ他のあやかしには秘密なんだ」 
 そう言って人差し指を唇に当てる天狗をのぞみは睨んで怒鳴りつける。
「紅さま!!」
「はいはいそこまでだよ、お二人さん。いいから早く行っとくれ」
 ぱんぱんと手を叩いて、サケ子が間に入る。のぞみは真っ赤な顔で、しぶしぶ頷いだ。
 鬼の子たちはようやく納得して、のぞみから離れて園庭に向かって走り出す。紅は、はははと声をあげて笑いながら、のぞみを引き寄せた。
 そして、「鬼の期待に応えて、帰りに連れ込み宿にでも寄ろうか」などと囁いたものだから、またのぞみは彼をバチンとやってしまうのだった。