「あの、こづえさん」
少しふらふらとしたまま、かの子を連れて森へ帰ろうとするこづえの背中に、のぞみは遠慮がちに呼びかける。こづえは振り向いて、眠そうな目でのぞみを見た。
「なに?」
「…かの子ちゃん毎日いい子でお母さんのお迎えを今か今かと待っているんです。でも今日は、どうしても寂しくて泣いてしまったんです」
「…だからなに?」
のぞみは、胸のところで拳をぎゅっと握りしめた。
「お、お仕事が大変なのはわかりますけど、も、もう少し…ほんのちょっとでも早く来てあげてくれませんか? せめて他の子たちと同じくらいの時間に…」
本当に、何をしているか知らないけれど少なくともお酒を飲む暇があるなら早く迎えに来てやってほしいと強く思う。
一方でこづえの方は眉を寄せてのぞみを睨んだ。
「あんた、私が遊んでるとでも言いたいわけ?!」
「そ、そうじゃありません…でも」
「じゃあ、何なんだよ!」
こづえの剣幕に建物から紅が出てきた。サケ子も駆けつけようとするけれど、それは紅が制したようだった。
少しふらふらとしたまま、かの子を連れて森へ帰ろうとするこづえの背中に、のぞみは遠慮がちに呼びかける。こづえは振り向いて、眠そうな目でのぞみを見た。
「なに?」
「…かの子ちゃん毎日いい子でお母さんのお迎えを今か今かと待っているんです。でも今日は、どうしても寂しくて泣いてしまったんです」
「…だからなに?」
のぞみは、胸のところで拳をぎゅっと握りしめた。
「お、お仕事が大変なのはわかりますけど、も、もう少し…ほんのちょっとでも早く来てあげてくれませんか? せめて他の子たちと同じくらいの時間に…」
本当に、何をしているか知らないけれど少なくともお酒を飲む暇があるなら早く迎えに来てやってほしいと強く思う。
一方でこづえの方は眉を寄せてのぞみを睨んだ。
「あんた、私が遊んでるとでも言いたいわけ?!」
「そ、そうじゃありません…でも」
「じゃあ、何なんだよ!」
こづえの剣幕に建物から紅が出てきた。サケ子も駆けつけようとするけれど、それは紅が制したようだった。