「……葵……」
隼翔……。
いつも以上にやさしい声の隼翔。
「……ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど……」
……え……?
「まさか葵が泣いてしまうなんて……」
バ……バレていた……?
オレが泣きそうになっているのを……。
「な……泣いてなんかないもん」
オレは、隼翔にそう言われて恥ずかしくなって意地を張った。
「……ちゃんと覚えてるから」
え……?
「今日が何の日なのか……」
隼翔……。
「今日は、オレと葵が恋人同士になって一年が経った大切な日」
ちゃんと覚えていてくれたんだ……。
「隼翔……」
オレは横を向いていた顔を隼翔の方に向けた。
「ちゃんと覚えていてくれてたんだ……」
「当たり前だろ。そんな大切な日、忘れるわけがないだろ」
「隼翔……」
「さっきは、ちょっとふざけ過ぎた。葵を悲しませるつもりはなかったんだ」
「隼翔……」
「本当にごめん、葵」
「もういいよ。隼翔がちゃんと覚えていてくれてすごく嬉しい」
「葵……」