なんで……なんで……こんなに大切な日を覚えていないなんて……。
あんまりだ……隼翔……。
オレは隼翔が覚えていないことがショックで、全身の力がスーッと抜けていくのがわかった。
「どうした? 葵、大丈夫か?」
隼翔が何かを言っているのは聞こえたけど、ショックのせいか、話の内容が耳に入ってこない。
「お~い、葵~」
……ふん、なにさ。
今日という日を全く覚えていないくせに‼
なにが『お~い、葵~』だ‼
……あ、今の隼翔の言葉はちゃんと聞こえてた。
…………。
……あれ……?
なんか……。
どうしてだろう……。
そんなつもりじゃないのに……。
なにこれ……。
……涙が……。
涙が出てきそう……。
どうしよう……。
隼翔に見られたくない。
泣きそうな顔を隼翔に……。
「……なんてね」
え……?
隼翔……?