「隼翔……」


 でもね。


「葵……」


 オレは……。


「幸せ」


 オレは、そう言って隼翔に抱きついた。


「オレは、こうしているだけでも幸せだよ」


 隼翔が言った『しよっか』は、今日は実現できなかったけど、こうしているのもオレにとって幸せなことだから。


「……葵……」


「なぁに、隼翔」


「そんなにかわいいことをされちゃうと……オレ、我慢できなくなりそう……」


 は……隼翔‼


「きょ……今日はダメだよ、隼翔。別の部屋には楓姉ちゃんと楓姉ちゃんの友達がいるんだから」


「わかってる……わかってるけど……」


「ダメだよ……今日は……」


 オレだってそれなりに我慢してるんだから……。


「……じゃあ……」


 隼翔……?


「じゃあ……?」


 オレが頭に『はてなマーク』を浮かばせているのもつかの間、隼翔の片手がオレの後頭部にまわり、そのあと隼翔の顔が急接近した。

 そして……。