「隼翔、ちょっと入ってもいい?」


 楓姉ちゃんは、そう言いながらドアをノックした。


「あ、ああ、いいよ」


 オレと隼翔の準備が整い、隼翔は楓姉ちゃんにそう言った。


 そして楓姉ちゃんはドアノブをガチャっと開けた。


「あら、葵も一緒にいたのね」


 隼翔の部屋のドアを開けた楓姉ちゃんの最初の一言はそれだった。


「う、うん」


 オレは楓姉ちゃんの言ったことに『うん』としか言えなかった。


「ど、どうしたんだよ、姉ちゃん。友達と会ってたんじゃなかったのかよ」


「うん、会ってるよ。それで今、家に連れてきているのよ」


 え⁉ 家に連れてきている⁉


「オレたち何も聞いてないんだけど……」


 隼翔の声のトーンは少しだけ動揺が見えていた。


「え? だって連絡したじゃない」


「え……?」


「隼翔と葵にメールで」


 えー⁉ そうだったのぉ⁉


 オレと隼翔はすぐにメールを見た。


「……ほんとだ……」


 全く気付かなかった……。