「隼翔―、葵―」


 今度は、はっきりと聞こえた。


 この声は……。


「隼翔―、葵―」


 楓姉ちゃん⁉


「え⁉ な、なんで姉ちゃんが家に⁉ だって姉ちゃん、友達と出かけてるんじゃ……」


 隼翔も楓姉ちゃんの声に気付いてパニックになっているのか、あたふたしている。


「お……落ち着いて、隼翔。とにかく普通にしてよう」


 隼翔に『普通にしてよう』と言ったものの、一体何が普通なのかオレはわからなくなっていた。


 とりあえずオレと隼翔は、くっつけている身体を離して、乱れている髪と服を整えた。


 あとは……。


 とにかく普通に……。


 そして……。