私には好きな人がいる。でも、周りには話せない、これは禁断の恋だから。って始まり方をする小説はどんなに好きな作者だとしても私は読むのをやめた。なぜなら、そんなのは物語でしかありえないし、これを使えばとりあえず面白くなると思ってる。そんな、浅はかなで打算的な本を私は読みたくなかった。
事実は小説よりも希なりなんて許さない、そんな驚くようなことがあるなら絶対に何かの小説で起こったことの二番煎じだ。この言葉を言った人は本を読んだことがなかったとしか思えない。
だから、私が小説に願うのは人が考え尽くした上での人生では絶対に起きない奇を体験するところであってほしい。そんな気持ちを持っていた。もちろん、そんなことがすべての小説に当てはまるわけではないことは分かっていた。でも、そうあるべきだと思ってた。それが面白いと言われる小説の大切な要素だと。
そんな私の意見とは正反対の意見を持っている人が現れた。その人は小説は、現実よりも現実ながら王道を歩んでこそ、面白いと言った。
その人は今、私の前に立っている。
「次、小和、読んで」
「先生、高橋って呼んでください」
「すまん、つい部活の時の癖で、高橋ここから読んで」
椅子から立ち上がり、教科書の指定されたページを読んだ。自分の範囲を読み切ると後ろの人にまわっていった。
「だから!高橋って呼んでください、先生」
部活が始まって先生が来るとすぐに問いただしに行った。私の入っている文学部の顧問で国語担当の源 大翔先生だ。彼は何度目か数えられないほどの私の怒りを受けながらも、へらへらと笑ったままだ。
「ごめんて、小和」
「だから、それを変えてって言ってるんです」
「今日、何するの部長」
「無視しないでください」
「小和ちゃんも落ち着いて?」
私は一人の部員になだめられながら、いつもの席に座る。先生は部長から、今日やることの説明を受けている。先生は私だけを名前で呼んでいるわけではなく、部員は役職か名前で呼んでいる。
先生への説明が終わったところで、部長が部員への説明に入った。今日は、やることは近の文化祭で展示するものの作成だった。作品は読んだ本の考察がほとんどを占めるがたまーに自分の小説を書く人がいたりする。私は今年も本の考察にするつもりだった。
「小和、なんか書こうよ、短編でもいいし」
この一言がすべての始まりだった。なぜかみんなも私の本を読みたいとか言い始めて、その場のノリで私は書くと言ってしまった。そして、ただでさえ受験勉強の中で本を書くという暴挙をすることとなってしまった。
実は私は小説を書いていた時期があった。中学生のころから高校に入学して少し経つばかりのころまでは書いていた。誰も見せずの自己完結の本を書いていたけど、高校になってスマホを持った時、ちょっとした出来心で投稿サイトに書いたのを乗せた。そこでの評価を知ってしまってから、本を書くことはなくなった。評価といっても悪評を受けたわけではなく、誰も読んでくれなかったことで、心が折れた。
「先生、これ読んでください」
「もうできたのか?」
小説を書くと宣言してから一週間後の部活で、書き上げた短編を先生に渡した。
「俺が読んでいいのか?部長に部員に読んでもらうと思ってた」
「みんなには、ちゃんとしたの読んでもらいたいんです」
「そっか、分かったよ」
ああ、ドキドキする。自分の書いた本を読んでもらうなんて、初めてなので恥ずかしかった。先生は本に対してはふざけることなく真面目に目を通してくれている。恥ずかしい時間は10分くらいで終わった。もともとそんなに分量が多くなかったし、長文に読み慣れてる人だったらさほど時間はかからない。
「小和、感想だけど」
「はい」
「普通だな」
「はい?」
先生からの感想はたったの二文字だった。私の一週間の頑張りは普通で片づけられてしまった。
「どうする?もっと詳しく感想が欲しいか?」
私はうなずいた。正直聞きたくはなかったが、先生の普通ではイマイチ私の何がいけないのか分からなかった。
「そっか、じゃあ、廊下に出るぞ」
「え、何でですか?」
「いいから」
先生は教室の扉を開けて、私に来るように言った。
「だって、みんなの前でいちゃもんつけられるのは嫌だろ」
この言葉を渡すが理解できたのは、先生からの感想という名のダメ出しを受け終わった後だった。
「まず、小和の好きな本のことは前に何度も聞かせてもらった。これもその通りに書こうと思っているのは伝わってきた。でも、それにしては内容の奇の部分が薄かった、そして、本はそれなりの量を読んでるから文章はそこそこ成り立ってる。だから、普通なんだ」
「はい」
「あと、小和自分で小説書いたことあっただろ」
「なんでそれを!?」
「初めて書いた文章にしては垢が抜けすぎてた。以上が感想、部室には小和のタイミングで戻ってきてくれ」
そういって、先生は部室に戻っていった。確かにこれをみんなの前で言われるのは堪えるものがある。先生の言ってることは、間違ってなかった。私もこの小説の作者ではなく純粋な読者として読んだなら似たようなことを言うだろう。
今の私の感情は悔しいだった。この本も書き終わったとき、私はある程度はうまくかけたと思ってた。でも、今読みなおすと人に見せれるレベルですらなかった、なのに気付かずに先生に見せてしまったことが悔しかった。でも、先生に昔書いていたことを知られたのは恥ずかしかった。
部室に戻ると先生は部員の展示する考察の添削をしていた。先生は戻ってきた私に視線を向けたが、私は一切先生を見なかった。部活の残り時間を私は赤ペン片手に小説をを読み返した。
「小和ちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ、部長」
部室に戻ってくるなり、自分で書いた本を何周もしている私を心配して声をかけてくれたのだろう。
「私も読むから、よかったら頼ってね」
「ありがと、ちゃんとしたのを書けたらその時は読んでね」
「うん」
それから、文化祭までの間短編を書きつづけた。小説家を目指しているわけではないから、文化祭の展示にここまでやらなくていいと思ったが、先生の普通という言葉が私の心に残り続けていたのが原因だ。
事実は小説よりも希なりなんて許さない、そんな驚くようなことがあるなら絶対に何かの小説で起こったことの二番煎じだ。この言葉を言った人は本を読んだことがなかったとしか思えない。
だから、私が小説に願うのは人が考え尽くした上での人生では絶対に起きない奇を体験するところであってほしい。そんな気持ちを持っていた。もちろん、そんなことがすべての小説に当てはまるわけではないことは分かっていた。でも、そうあるべきだと思ってた。それが面白いと言われる小説の大切な要素だと。
そんな私の意見とは正反対の意見を持っている人が現れた。その人は小説は、現実よりも現実ながら王道を歩んでこそ、面白いと言った。
その人は今、私の前に立っている。
「次、小和、読んで」
「先生、高橋って呼んでください」
「すまん、つい部活の時の癖で、高橋ここから読んで」
椅子から立ち上がり、教科書の指定されたページを読んだ。自分の範囲を読み切ると後ろの人にまわっていった。
「だから!高橋って呼んでください、先生」
部活が始まって先生が来るとすぐに問いただしに行った。私の入っている文学部の顧問で国語担当の源 大翔先生だ。彼は何度目か数えられないほどの私の怒りを受けながらも、へらへらと笑ったままだ。
「ごめんて、小和」
「だから、それを変えてって言ってるんです」
「今日、何するの部長」
「無視しないでください」
「小和ちゃんも落ち着いて?」
私は一人の部員になだめられながら、いつもの席に座る。先生は部長から、今日やることの説明を受けている。先生は私だけを名前で呼んでいるわけではなく、部員は役職か名前で呼んでいる。
先生への説明が終わったところで、部長が部員への説明に入った。今日は、やることは近の文化祭で展示するものの作成だった。作品は読んだ本の考察がほとんどを占めるがたまーに自分の小説を書く人がいたりする。私は今年も本の考察にするつもりだった。
「小和、なんか書こうよ、短編でもいいし」
この一言がすべての始まりだった。なぜかみんなも私の本を読みたいとか言い始めて、その場のノリで私は書くと言ってしまった。そして、ただでさえ受験勉強の中で本を書くという暴挙をすることとなってしまった。
実は私は小説を書いていた時期があった。中学生のころから高校に入学して少し経つばかりのころまでは書いていた。誰も見せずの自己完結の本を書いていたけど、高校になってスマホを持った時、ちょっとした出来心で投稿サイトに書いたのを乗せた。そこでの評価を知ってしまってから、本を書くことはなくなった。評価といっても悪評を受けたわけではなく、誰も読んでくれなかったことで、心が折れた。
「先生、これ読んでください」
「もうできたのか?」
小説を書くと宣言してから一週間後の部活で、書き上げた短編を先生に渡した。
「俺が読んでいいのか?部長に部員に読んでもらうと思ってた」
「みんなには、ちゃんとしたの読んでもらいたいんです」
「そっか、分かったよ」
ああ、ドキドキする。自分の書いた本を読んでもらうなんて、初めてなので恥ずかしかった。先生は本に対してはふざけることなく真面目に目を通してくれている。恥ずかしい時間は10分くらいで終わった。もともとそんなに分量が多くなかったし、長文に読み慣れてる人だったらさほど時間はかからない。
「小和、感想だけど」
「はい」
「普通だな」
「はい?」
先生からの感想はたったの二文字だった。私の一週間の頑張りは普通で片づけられてしまった。
「どうする?もっと詳しく感想が欲しいか?」
私はうなずいた。正直聞きたくはなかったが、先生の普通ではイマイチ私の何がいけないのか分からなかった。
「そっか、じゃあ、廊下に出るぞ」
「え、何でですか?」
「いいから」
先生は教室の扉を開けて、私に来るように言った。
「だって、みんなの前でいちゃもんつけられるのは嫌だろ」
この言葉を渡すが理解できたのは、先生からの感想という名のダメ出しを受け終わった後だった。
「まず、小和の好きな本のことは前に何度も聞かせてもらった。これもその通りに書こうと思っているのは伝わってきた。でも、それにしては内容の奇の部分が薄かった、そして、本はそれなりの量を読んでるから文章はそこそこ成り立ってる。だから、普通なんだ」
「はい」
「あと、小和自分で小説書いたことあっただろ」
「なんでそれを!?」
「初めて書いた文章にしては垢が抜けすぎてた。以上が感想、部室には小和のタイミングで戻ってきてくれ」
そういって、先生は部室に戻っていった。確かにこれをみんなの前で言われるのは堪えるものがある。先生の言ってることは、間違ってなかった。私もこの小説の作者ではなく純粋な読者として読んだなら似たようなことを言うだろう。
今の私の感情は悔しいだった。この本も書き終わったとき、私はある程度はうまくかけたと思ってた。でも、今読みなおすと人に見せれるレベルですらなかった、なのに気付かずに先生に見せてしまったことが悔しかった。でも、先生に昔書いていたことを知られたのは恥ずかしかった。
部室に戻ると先生は部員の展示する考察の添削をしていた。先生は戻ってきた私に視線を向けたが、私は一切先生を見なかった。部活の残り時間を私は赤ペン片手に小説をを読み返した。
「小和ちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ、部長」
部室に戻ってくるなり、自分で書いた本を何周もしている私を心配して声をかけてくれたのだろう。
「私も読むから、よかったら頼ってね」
「ありがと、ちゃんとしたのを書けたらその時は読んでね」
「うん」
それから、文化祭までの間短編を書きつづけた。小説家を目指しているわけではないから、文化祭の展示にここまでやらなくていいと思ったが、先生の普通という言葉が私の心に残り続けていたのが原因だ。