目覚ましが鳴る前に目が覚めた。
いつもは簡単には離してくれないベッドからするりと起きあがり、カーテンを開くと、今日は雨模様。
制服に着替えてから机に座り、手鏡に顔を映した。
茶色のようで金色の髪にハイトーンの眉。まだ見慣れなくても、これが新しい私。
今日は雨だけれど、夜は街へ行ってみよう。リョウはきっと驚いてくれるはず。
――ドタドタ。
階段をのぼる足音が近づいて来た。伊予さんはこうやって全身を使って階段をのぼるのだ。
ベッドにへばりつく私を起こすのが朝の大仕事。
昨日は日曜日だったので、伊予さんもまだこの髪を見ていない。どんな反応をするんだろう。
――ドンドンドン!
ノックというには激しく叩かれたドアが、
「おはよう!」
伊予さんの声とともにばーんと開く。
ベッドにいない私に眉をしかめた伊予さんが、顔をこちらに向けた。その目が見開かれるのを見て、心の中でガッツポーズをした。
髪の色について、伊予さんはどんな感想を持つのだろう。
「うわ、起きてるやん。珍しい!」
叫んでからポンと手を打つ。
「今日から期末テストかあ。気合いは十分やな。朝食できてるで」
それだけ言うと、にぎやかな足音を立てて伊予さんは下へおりてしまった。
あれ……?
部屋の電気をつけていなかったので髪の色に気づかなかったのかな?
カバンを手に下におりると、台所では伊予さんが忙しそうに動き回っていた。
「お弁当におかず詰めてな。ウチ、洗濯機回してくるから。あ、雨やんな。乾燥機も使わせてもらうで」
早送りのビデオを見ているみたい。言われた通り弁当箱におかずを詰めていく。バタバタと戻って来ると、今度は洗い物をはじめる伊予さん。
「テストって今日は何教科あるん?」
「三教科」
「それじゃ、いつもより帰りが早いんやな。戻ってきたら明日の予習しとこーか」
右へ左へ動きながら伊予さんが提案してくるので「うん」とうなずく。
「詰めたらごはん食べ。カルシウムたっぷりやから、頭の回転良くなるで」
紅鮭と味噌汁、小魚とほうれん草の煮びたしという和食。
お茶碗にご飯をよそってから席に着くと、ようやく伊予さんも前の席に腰をドカッとおろした。
彼女持参のビールジョッキくらい大きい湯呑に、コーヒーがたっぷり入っている。
いつもは簡単には離してくれないベッドからするりと起きあがり、カーテンを開くと、今日は雨模様。
制服に着替えてから机に座り、手鏡に顔を映した。
茶色のようで金色の髪にハイトーンの眉。まだ見慣れなくても、これが新しい私。
今日は雨だけれど、夜は街へ行ってみよう。リョウはきっと驚いてくれるはず。
――ドタドタ。
階段をのぼる足音が近づいて来た。伊予さんはこうやって全身を使って階段をのぼるのだ。
ベッドにへばりつく私を起こすのが朝の大仕事。
昨日は日曜日だったので、伊予さんもまだこの髪を見ていない。どんな反応をするんだろう。
――ドンドンドン!
ノックというには激しく叩かれたドアが、
「おはよう!」
伊予さんの声とともにばーんと開く。
ベッドにいない私に眉をしかめた伊予さんが、顔をこちらに向けた。その目が見開かれるのを見て、心の中でガッツポーズをした。
髪の色について、伊予さんはどんな感想を持つのだろう。
「うわ、起きてるやん。珍しい!」
叫んでからポンと手を打つ。
「今日から期末テストかあ。気合いは十分やな。朝食できてるで」
それだけ言うと、にぎやかな足音を立てて伊予さんは下へおりてしまった。
あれ……?
部屋の電気をつけていなかったので髪の色に気づかなかったのかな?
カバンを手に下におりると、台所では伊予さんが忙しそうに動き回っていた。
「お弁当におかず詰めてな。ウチ、洗濯機回してくるから。あ、雨やんな。乾燥機も使わせてもらうで」
早送りのビデオを見ているみたい。言われた通り弁当箱におかずを詰めていく。バタバタと戻って来ると、今度は洗い物をはじめる伊予さん。
「テストって今日は何教科あるん?」
「三教科」
「それじゃ、いつもより帰りが早いんやな。戻ってきたら明日の予習しとこーか」
右へ左へ動きながら伊予さんが提案してくるので「うん」とうなずく。
「詰めたらごはん食べ。カルシウムたっぷりやから、頭の回転良くなるで」
紅鮭と味噌汁、小魚とほうれん草の煮びたしという和食。
お茶碗にご飯をよそってから席に着くと、ようやく伊予さんも前の席に腰をドカッとおろした。
彼女持参のビールジョッキくらい大きい湯呑に、コーヒーがたっぷり入っている。



