ふたりを家まで送ってくれたお父さんは、家に着くなる「さて」と咳ばらいをした。

「どういうことか、詳しく説明してもらおうか」
「えっと……」
 と口ごもっている間にお父さんのスマホが鳴り出した。

 視線は私にロックオンしたまま、スマホを耳に当てる。

「はい。出水です。……え?」

 目を丸くしたお父さんが「ああ」とか「ええっ!?」とか言ったあと、
「悪い、呼び出された。また明日聞くから――」
 あせったように家を飛び出していった。
 なにか仕事であったようだけれど、追及されたくない私にはラッキーだった。

 ようやく息をつく。まだパラパラと落ちる砂を玄関で払っていると、今度は私のスマホが鳴り出した。

 ――リョウだ。

「もしもし。あの……」

 そう口にする私に、
『ごめん』
 いきなりリョウが謝った。

『どうしてもこのまま今日を終わらせたくないんだ』
「私も……。リョウ、さっきはごめんなさい」

 すぐに視界が涙でゆがんでしまう。

『会いたいんだ。会ってもう一度、話がしたい』


 リョウの声に目を閉じると、あとからあとから涙がこぼれ落ちた。