どうしてそこまで?

「そんなの友達だから当然でしょ」

 明日香の声に「そうだよ」と小春が言った。

「あの……。ありがとう」

 そう言って私もライトのなかへ。
 光に照らされた砂は、星のようにキラキラしていた。あてもなくいつくばって探すけれど、よく考えるともっと先のような気もしてくる。
 あのあと誰かに拾われた可能性も、ないとは言えない。

 指先の感覚を頼りに砂を掴む。離す。また掴む。明日香がスマホのライトをつけたので私もそれに倣った。

「リョウさんについてどう思ってるの?」

 明日香が尋ねた。
 またごまかそうと思った。

 けれど、
「好き」
 素直に答える私。

「だよね」
「でも、そばにいちゃダメだと思う」
「なんで?」
「リョウはすごく先を見ていて、恋愛どころじゃないんだって。夢もなにもない私がそばにいるのはよくないよ」

 砂を踏みしめる音がする。
 さっきまでふたりで座っていた場所を見ても、もうリョウはいない。これで良かったんだ、ともう一度自分に言い聞かせた。

「私は違うと思うな」

 右のほうから小春の声が聞こえた。

「世の中には、いろんな人がいるでしょう? リョウさんのフィールドには夢を持った人以外は入れないの? そうじゃないと思う。どんな人でも、リョウさんが拒否した人以外はいていいと思う」
「ジャマになったら?」

 気弱な声になってしまう。

「ジャマって言われたら考える、それでいいんじゃない?」
「あたしもそう思うよ」

 明日香が同意した。

「亜弥はヘンなところだけマジメだからね。それが長所で短所だね」