「それより、リョウさんとのデート、明日だね!」
明日香が言うから、コーヒーの後味が急に苦くなった。
「デートじゃないし」
「なんで? この間、告白されたのに。ああ、いいなぁ。あたしも幸せになりたい~」
ぽわんとした表情の明日香に「違うって」と否定の言葉を追加。
「あんなの告白じゃないってば。ただ、用事につき合わせたいだけだもん」
「ふふ。あたしたちからすれば、立派な告白だったけどな。でも、まあ」
明日香はすくっと立った。
「改めて明日、告白されるってこともあるしね」
「ないない」
「じゃ、もし告白されたら、あたしにも友達紹介するようにお願いしてね」
「はいはい」
「あたしは木月さんみたいな落ち着いた大人の人がいいなぁ」
「ムリムリ」
それから私たちはたわいない話をした。
テレビのことやクラスメイトのこと。夏休みになり、明日香との距離はさらに近づいているのは間違いない。
夕方、これから家族で外食する予定の明日香を家の外で見送った。
こういうの、なんだかいいなあ。
オレンジ色の明日香が見えなくなるまで手を振ってから家に戻る。
靴を脱いでいるとチャイムが鳴った。
忘れ物でもしたのかな?
そう思ってドアを開けた私の前には、
「え……」
「こんにちは」
伊予さんが立っていた。
「伊予さん……。なんで?」
今日は土曜日で休みのはず。それに、さっき家に戻るとき、伊予さんの姿なんてなかったのに……。
戸惑う私に、伊予さんは小さく結んだ口を開く。
「亜弥ちゃんに大事な話があって来てん」
その声はこれまで聞いたことのないほど静かな声だった。
明日香が言うから、コーヒーの後味が急に苦くなった。
「デートじゃないし」
「なんで? この間、告白されたのに。ああ、いいなぁ。あたしも幸せになりたい~」
ぽわんとした表情の明日香に「違うって」と否定の言葉を追加。
「あんなの告白じゃないってば。ただ、用事につき合わせたいだけだもん」
「ふふ。あたしたちからすれば、立派な告白だったけどな。でも、まあ」
明日香はすくっと立った。
「改めて明日、告白されるってこともあるしね」
「ないない」
「じゃ、もし告白されたら、あたしにも友達紹介するようにお願いしてね」
「はいはい」
「あたしは木月さんみたいな落ち着いた大人の人がいいなぁ」
「ムリムリ」
それから私たちはたわいない話をした。
テレビのことやクラスメイトのこと。夏休みになり、明日香との距離はさらに近づいているのは間違いない。
夕方、これから家族で外食する予定の明日香を家の外で見送った。
こういうの、なんだかいいなあ。
オレンジ色の明日香が見えなくなるまで手を振ってから家に戻る。
靴を脱いでいるとチャイムが鳴った。
忘れ物でもしたのかな?
そう思ってドアを開けた私の前には、
「え……」
「こんにちは」
伊予さんが立っていた。
「伊予さん……。なんで?」
今日は土曜日で休みのはず。それに、さっき家に戻るとき、伊予さんの姿なんてなかったのに……。
戸惑う私に、伊予さんは小さく結んだ口を開く。
「亜弥ちゃんに大事な話があって来てん」
その声はこれまで聞いたことのないほど静かな声だった。