病院で、部活や運動は控えるようにと言われた。走ったりすると痛いようだが、松葉杖無しで歩く分には痛みはなかった。
だから、学校での短い移動には松葉杖を使わなかった。

その日は、病院に行ってから学校に行ったので、遅刻となった。

「……おはようございます……」

「ちょ、え!? どうしたの! 弧深!?」

ちょっと、オーバーリアクションだが、部活が一緒で、調子が悪かった同級生、水鈴が寄ってきた。
クラスの皆は、授業中だったので私を見るだけだった。
足を挫いたのは、日曜日だった。病院が開いているわけもなく、今日になってしまったのだ。

「ちょっと挫いちゃって」

「……えぇ!? 何で!?」

「バドミントン……」

私は、バスケットで怪我をしたのではなく、バドミントンで怪我をしたのだ。

「ば、バドミントン……それはいいとして、髪の毛も切ったんだね」

「あ、うん。これは土曜日に……」

「ふーん」

どこか、冷めた目で見られていた。あんなに心配してくれていた、水鈴がその日から距離を置くようになった。
でも、私はそれに気付いていなかった。


-次の日-

「松葉杖って、めんどくさい……」

そう言って、私は松葉杖を教室において、教室を移動した。

「もう大丈夫なの?」

「歩く分には平気かな? あはは」

少し痛いのを我慢しつつ、ゆっくり歩く。そんな工夫も、周りからは見えない。