行きたくなくてどうしようもなかったけど、バックレたら可憐ちゃんにも宗田くんにも悪い気がして、私は重い足取りでお花見をするという公園へ向かった。

「真知さーん。」

公園の入口で可憐ちゃんが私に向かって手を振ってくる。
カジュアルなのにレースやリボンをさりげなく取り入れているあたり、可憐ちゃんの女子力を感じる。

「いつもながら可愛いね。」

エロ親父みたいな私の発言にすら、可憐ちゃんは頬をうっすらピンクに染める。

「真知さんこそ、素敵です。」

デニムのパンツにTシャツとカーディガンな雑なコーディネートに「素敵」とか言えちゃうあたり、可憐ちゃんは人間もよくできている。

「場所どこ?」
「人が多すぎて見つけ出せないです。」

可憐ちゃんと二人キョロキョロしていると、「仁科ぁー」と遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。
そちらを見やれば、宗田くんが手を振っていた。
大きなブルーシートが敷かれていて、設計課のメンバーがすでに座ってわいわい盛り上がっている。