悶える小田くんを無視して、可憐ちゃんが力説する。

「私、入社してすぐ真知さんの下についたんですけど、真知さんって本当に優しくて頼りになるんです。それに、私のことも嫌がらずに接してくれるし。私こんなだから、ぶりっ子とか今まで散々言われてきて。でも真知さん私のことありのまま受け入れてくれるので、嫌な思いしたことありません。とっても感謝してます。」

可憐ちゃんは本当に可愛くて、絵に描いたような女子の仕草や動きをするのだけど、それをよく思わない女性がいるのも確かだ。
そんなのはただの僻みじゃないかと私は思うんだけど、そうじゃない人も世の中にはいる。

可憐ちゃんは受け入れてくれるとか言うけど、むしろ私は可憐ちゃんの可愛さを見習いたいくらいだと思っている。
私にもそんな女の子らしさがほしい。
ふんわり笑顔が作れるなんて素晴らしいじゃないか。

可憐ちゃんの話をじっと聞いていた宗田くんは、ビールを一気にあおると力強く言った。

「わかる。仁科はそういうやつなんだよな。だから俺は仁科が好きだ。」
「私もです。」

意気投合する二人に、私と小田くんは置いてきぼりだ。

さらりと言われた「好き」という言葉に胸がドキリとしたけど、そこは触れないでおいた。