結局駅まで手を繋いで歩いた。

駅に着くと宗田くんは何事もなかったかのようにぱっと手をはなす。
同時に、私は大きく息を吐いた。

「じゃあ、私はこっちなので。」

可憐ちゃんが言う。
可憐ちゃんとは帰る方向が逆だ。

「うん、気を付けてね。」
「あ、俺も同じ方向。可憐ちゃん送るよ。」

小田くんがぱあっと嬉しさ全開の笑顔で言う。
ていうか、いつの間に名前呼びになったんだ。

「俺と仁科はこっちだから。じゃあまたな。」

宗田くんが私を引っ張るように改札へ入れる。
手を振る可憐ちゃんに後ろ髪引かれつつ、宗田くんの後へ続いた。

「仁科、送るよ。」

ホームで電車を待ちつつ、宗田くんが言う。
宗田くんと私の家は一駅違う。
ここからだと私の方が一駅遠いことになる。

「大丈夫だよ。一人で帰れる。どっちかっていうと宗田くんの方が心配よ。一人で帰れる?」

お酒、結構飲んでたと思うけど。
覗き込むように伺うと、へらっとした笑いが返ってきた。

「仁科と一緒にいたい。」

先程の夜桜を見ながら熱っぽい視線を向けられたことを思い出して、顔が熱くなってくるのがわかる。

ちょうど電車が入ってきて、特に返事もしないまま私たちは電車に乗り込んだ。