言葉に詰まった先輩は顔を上げると、僕に向けて言い放った。
「一射目から注目されるような射は、私にはできないの」
先輩の迫力に、圧倒されるしかなかった。
僕の考えはとても浅はかだった。他人の考えを勝手に決めつけているだけ。本心を探ろうともせずに、思ったことを口にしているだけにすぎない。
「どうして、真弓君は引き付ける射ができるのかな?」
弱気になっている先輩を初めて見た気がした。ここまで僕の射形を褒めてくれたのは、先輩が初めてだ。射形はずっと褒められてきたこと。だけど射形がいい人なら、僕以外にもたくさんいる。どうして先輩は僕に固執するのだろう。
「先輩!」
知りたかった。先輩の本当の気持ちを。
今の僕が先輩にできること。やれることをしようと思った。
「僕でよかったら、話を聞きます。だから、はっきり言ってください。先輩が悩んでいること。抱えていること。言わなきゃ伝わりません!」
目の前の先輩は、ついこの間までの自分を見ているようだった。誰にも頼ることをしないで、ただ一人で考えてしまう。そんな先輩に僕ができることは、先輩の話を聞くこと。
双眸から零れ落ちる涙を拭った先輩は、ゆっくりと口を開いた。
「私、友達がいないの」
振り絞るように放たれた言葉は、とても弱く、今にも消えそうだった。それでも僕は、消えそうな言葉をしっかりと受け止めるため、先輩に視線を送り続ける。
しばらくして、先輩が再度口を開いた。
「小さい頃から、ずっと一人で弓道をしてきた。だから弓道は一人でするスポーツだとずっと思ってた。でも、それは違ったの。全国大会で優勝した真弓君の周りには、祝ってくれる人が沢山いた。その時に初めて、弓道は一人でやるスポーツではないって思えたの」
先輩の言葉の節々が響いてくる。まるで僕に諭すように、一言一言に重みがある。
「一射目から注目されるような射は、私にはできないの」
先輩の迫力に、圧倒されるしかなかった。
僕の考えはとても浅はかだった。他人の考えを勝手に決めつけているだけ。本心を探ろうともせずに、思ったことを口にしているだけにすぎない。
「どうして、真弓君は引き付ける射ができるのかな?」
弱気になっている先輩を初めて見た気がした。ここまで僕の射形を褒めてくれたのは、先輩が初めてだ。射形はずっと褒められてきたこと。だけど射形がいい人なら、僕以外にもたくさんいる。どうして先輩は僕に固執するのだろう。
「先輩!」
知りたかった。先輩の本当の気持ちを。
今の僕が先輩にできること。やれることをしようと思った。
「僕でよかったら、話を聞きます。だから、はっきり言ってください。先輩が悩んでいること。抱えていること。言わなきゃ伝わりません!」
目の前の先輩は、ついこの間までの自分を見ているようだった。誰にも頼ることをしないで、ただ一人で考えてしまう。そんな先輩に僕ができることは、先輩の話を聞くこと。
双眸から零れ落ちる涙を拭った先輩は、ゆっくりと口を開いた。
「私、友達がいないの」
振り絞るように放たれた言葉は、とても弱く、今にも消えそうだった。それでも僕は、消えそうな言葉をしっかりと受け止めるため、先輩に視線を送り続ける。
しばらくして、先輩が再度口を開いた。
「小さい頃から、ずっと一人で弓道をしてきた。だから弓道は一人でするスポーツだとずっと思ってた。でも、それは違ったの。全国大会で優勝した真弓君の周りには、祝ってくれる人が沢山いた。その時に初めて、弓道は一人でやるスポーツではないって思えたの」
先輩の言葉の節々が響いてくる。まるで僕に諭すように、一言一言に重みがある。