高校弓道では、各地域に分かれてブロック大会が開催される。草越高校は関東ブロックに含まれており、四月の関東大会予選に勝ち残ると六月上旬に行われる関東大会に進むことができる。埼玉県代表の座をかけて、各校とも新人戦以来の大きな大会に挑む。
そして関東大会後に行われるのが、インハイ予選だ。翔兄ちゃんが全国三連覇を成し遂げた大会の予選会。関東大会とインハイは全く別の大会として位置づけられているため、中堅以下の高校は全国に繋がるインハイを目指して、関東大会を捨てるといった選択肢が取られる。それでも強豪校や名門校は、関東大会にも出場する。ここが強豪と中堅以下の差だとよく言われていた。
今日の練習試合は今後の布石となる試合と言われている。今年の各校の強さを図ることができるから。決して油断はできない試合になる。
試合のルールは的場先生の口から発表された。チームで十二射中、八中以上した上位四チームが一位をかけてもう一回、立を行うらしい。つまり、上位四チームに入れなかった時点で僕達弓道部は終わりを迎えることを意味していた。さらにその後の立で最下位になった瞬間、終わりを迎える。僕達は厳しい戦いをしいられることになる。
「っと、まあこんなところだ。おっと、そろそろ出番だな」
「俺達なら大丈夫ですよ」
的場先生に向け親指を立てた高瀬は笑顔を晒す。高瀬の笑顔は最近の中でも一番爽やかだった。
「そうか。まあ、気楽にやれよ」
たった一言、言い残した的場先生はすたすたとどこかに行ってしまった。道場前での会話と違い、いつも通りの的場先生を見れた気がして少し気持ちが楽になった。
「おい、真弓」
「何?」
「お前、相当注目されてるぞ」
周囲を見渡した僕は、直ぐに発言の意味に気づいた。
「あれって、真弓だよな?」
「中学で二連覇した真弓なのか?」
「どうして真弓が草越にいるんだ?」
各高校の生徒が僕の名前を出す。やはり弓道の強豪校だと、僕のことを知っている人がいるみたいだ。
「真弓って、中学三年の時一回も大会出てこなかったよな?」
「辞めたと思ってたのに。どうしているんだ?」
周囲がより一層騒がしくなる。それでも、僕が早気だということを知っている人はいないみたいだった。
「有名人だな」
「う、うるさいな」
古林の言葉に、少しだけカッとなった。それでも気分は悪くなかった。
そして関東大会後に行われるのが、インハイ予選だ。翔兄ちゃんが全国三連覇を成し遂げた大会の予選会。関東大会とインハイは全く別の大会として位置づけられているため、中堅以下の高校は全国に繋がるインハイを目指して、関東大会を捨てるといった選択肢が取られる。それでも強豪校や名門校は、関東大会にも出場する。ここが強豪と中堅以下の差だとよく言われていた。
今日の練習試合は今後の布石となる試合と言われている。今年の各校の強さを図ることができるから。決して油断はできない試合になる。
試合のルールは的場先生の口から発表された。チームで十二射中、八中以上した上位四チームが一位をかけてもう一回、立を行うらしい。つまり、上位四チームに入れなかった時点で僕達弓道部は終わりを迎えることを意味していた。さらにその後の立で最下位になった瞬間、終わりを迎える。僕達は厳しい戦いをしいられることになる。
「っと、まあこんなところだ。おっと、そろそろ出番だな」
「俺達なら大丈夫ですよ」
的場先生に向け親指を立てた高瀬は笑顔を晒す。高瀬の笑顔は最近の中でも一番爽やかだった。
「そうか。まあ、気楽にやれよ」
たった一言、言い残した的場先生はすたすたとどこかに行ってしまった。道場前での会話と違い、いつも通りの的場先生を見れた気がして少し気持ちが楽になった。
「おい、真弓」
「何?」
「お前、相当注目されてるぞ」
周囲を見渡した僕は、直ぐに発言の意味に気づいた。
「あれって、真弓だよな?」
「中学で二連覇した真弓なのか?」
「どうして真弓が草越にいるんだ?」
各高校の生徒が僕の名前を出す。やはり弓道の強豪校だと、僕のことを知っている人がいるみたいだ。
「真弓って、中学三年の時一回も大会出てこなかったよな?」
「辞めたと思ってたのに。どうしているんだ?」
周囲がより一層騒がしくなる。それでも、僕が早気だということを知っている人はいないみたいだった。
「有名人だな」
「う、うるさいな」
古林の言葉に、少しだけカッとなった。それでも気分は悪くなかった。